不妊症について 不妊症について

Q&A

監修:東邦大学医学部産科婦人科学講座 教授
 片桐 由起子 先生

Q. 結婚1年目の38歳です。早く子供がほしいのですが、受診のタイミングがわかりません。丸1年たっても妊娠できなければ病院に行けばいいのでしょうか?

結婚後1年たっても妊娠しない場合を不妊症と定義しますが、1年が経過しなくても、妊娠しにくい原因がないかどうかを調べることが望ましいです。受診を検討したときが受診のタイミングです。早々の婦人科受診をお勧めいたします。

Q. 高齢になると子供ができにくくなるのはなぜですか?

女性の場合、加齢とともに卵巣に蓄えられている卵子の数が減少し、卵子の質が低下します。男性では精子は日々作られていますが、女性では卵子は胎児期に作られ終わっていて、その後新しく作られることはありません。その後も時間経過とともに卵子数は減少し、思春期以降順番に成熟して排卵していきます。卵子の数の低下のスピードは、38歳ごろから加速します。したがって、年齢が高くなるにつれて、卵子細胞は古くなっていくので、質も低下して妊娠しにくくなり、妊娠後も流産しやすくなるのです。高齢になるにつれての流産の主な原因は、染色体の本数の異常です。卵子細胞が古くなるので、染色体を左右に均一に分ける能力が低下するために、1本多いあるいは1本少ない細胞が作られやすくなり、流産として淘汰されやすくなるのです。

Q. 結婚してすぐに一人目の子供ができたのですが、二人目はなかなかできません。どうしてでしょうか?

お一人目を妊娠した時にはなかった妊娠しにくい原因があるかもしれません。また、最初の妊娠の時より年齢が進んでいることも原因かもしれません。一人目が自然に授かったからといって安心せず、早めに受診し原因を確かめることをおすすめします。

Q. 不妊症の検査を受けに行こうと思っていますが、どのタイミングで受診すればいいですか?

検査は月経周期に併せて進めていくことになり、一度では終わらないものですから、受診した日にできる検査から始めることができます。行ってみようと思った時が受診のタイミングと考えて、自分が通いやすそうな施設を探して連絡してみてください。

Q. 不妊治療はお金がかかると聞きましたが・・・

検査や治療には健康保険が使えるものもあります。治療が進むにつれて自費診療となり費用がかかることもありますが、自費診療は施設により異なりますので、施設選びの際に費用もチェックしてみてください。検査も治療も、どこまで受けるかはご夫婦の判断です。望まない高額な検査をどうしても受けなければならないということはありませんので、まずは受診して相談してみてはいかがでしょうか。
どこまでの治療をいつまで受けるのか、期間や予算をふたりで話しあって目標を立てることをおすすめします。

Q. 排卵誘発剤を使うと閉経が早くなると聞いたのですが。

そのようなことはありません。
自然周期では1周期に概ね1つの卵子が排卵しますが、その陰で同じように発育を始め途中で発育が止まってしまう卵子が複数存在しています。排卵誘発剤を用いても1つの周期に消費される卵子の数は変わらないので、薬を使ったからといって閉経が早まることはないのです。

Q. 妊娠しやすいからだを作るために摂るとよいサプリメントはありますか?

サプリメントの中には、女性ホルモン類似物質を含むものがあります。卵子を育てようとする身体にとっては、逆効果なものもあるので、自己判断で摂取をするのはお勧めしません。まずはいろいろな栄養素をバランスよく取る食事を心がけて健やかな体を作ることを考えてみてはいかがでしょうか。その上で、胎児の二分脊椎発症を予防する葉酸や、妊娠成立に大切なビタミンDなど、ご自身の食生活で必要量を摂取することが難しいものがあればサプリメントを活用することも考えるとよいでしょう。

Q. 中絶すると不妊症になりやすくなるのですか?

一般的にはなりません。ただし、中絶の時に感染症を起こすなどで子宮内膜や卵管等に癒着がおきたり、中絶の処置によりその後の子宮内膜の厚さが薄くなる等が生じれば不妊症になる場合があります。

Q. 夫も検査を受けてもらいたいのに、なかなか受診する気になってくれません。

一般的に、ご主人に不妊要因がある可能性は45%存在します。したがって、ご主人の検査を先送りにして治療を開始すると、ふさわしい治療ではなくその間の時間が無駄になる可能性が懸念されます。婦人科に行くのに抵抗がある場合は、泌尿器科で不妊検査に対応している医療機関もあります。また、まず、必要な検査は精液検査ですが、精液検査はご主人自身が受診できなくても、自宅で採取した精液を奥さんが持参して検査を受けることも可能です。女性が通院する医療機関に相談しましょう。不妊治療は、治療を受けるタイミングが大切です。
本当にお二人の子どもが欲しいのかということも含めてよく話し合い、お二人で治療に取り組むようにすることをおすすめします。

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