不妊症について
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Q&A
監修:東邦大学医学部産科婦人科学講座 教授
片桐 由起子 先生
1年たっても妊娠しない場合を不妊症と定義しますが、1年経過していなくても、妊娠しにくい原因がないかどうかを調べることが望ましいです。行ってみようと思ったときが受診のタイミングです。早々の婦人科受診をおすすめします。
女性の場合、加齢とともに卵巣に蓄えられている卵子の数が減少し、卵子の質も低下します。男性では精子は日々つくられていますが、女性では卵子は胎児期につくられ終わっていて、その後新しくつくられることはありません。時間経過とともに卵子数は減少し、思春期以降順番に成熟して排卵していきます。卵子数の減少スピードは、30歳台後半から加速します。また、加齢とともに卵子細胞は古くなっていくため、質も低下して妊娠しにくくなり、妊娠後も流産しやすくなるのです。加齢にともない増加する流産の主な原因は、染色体の本数の異常です。卵子細胞が古くなると染色体を均ーに分ける力が低下するため、1本多いあるいは少ない細胞がつくられやすくなってしまうのです。

お一人目を妊娠したときにはなかった妊娠しにくい原因があるかもしれません。また、最初の妊娠のときより年齢を重ねていることも原因かもしれません。一人目は自然に授かったからといって安心せず、早めに受診し原因を確かめることをおすすめします。
検査の多くは月経周期に合わせて進めていくため、一度では終わらないものです。いつ受診しても、その日にできる検査から始められます。行ってみようと思ったときが受診のタイミングと考えて、自分が通いやすそうな施設を探して連絡してみてください。
これまで、不妊治療の多くは自費診療で行われていましたが、令和4年4月から、タイミング療法、人工授精、生殖補助医療(体外受精、顕微授精)のいずれも保険適用となり、窓口での負担額は治療費※の3割となりました。
※保険診療の治療費
ただし、体外受精や顕微授精の保険適用には年齢 ・ 回数による制限があります。また、不妊の原因やご希望によっては、自費診療となる検査や治療が行われる場合もあるため、不妊治療でどのくらいの費用がかかるのかはおふたりの状況により異なります。まずは医療機関で相談し、そして、どんな治療をいつまで受けるのか、おふたりでよく話し合いましょう。

そのようなことはありません。自然な月経周期では1周期に概ね1つの卵子が排卵しますが、実はその陰で、同じように発育したものの、途中で発育が止まってしまう卵子が複数存在しています。排卵誘発剤は、この、本来は発育が止まってしまう卵子を育てているため、1つの周期で消費される卵子の数は変わらないのです。そのため、薬を使ったからといって閉経が早まることはありません。
サプリメントを自己判断で摂取するのはおすすめしません。まずは食事でいろいろな栄養素をバランスよくとることを心がけましょう。そのうえで、食事では必要量の摂取が難しいものがあれば、胎児の二分脊椎発症を予防する葉酸や、妊娠成立に大切なビタミンDなどのサプリメントの活用を考えるとよいでしょう。

一般的にはなりません。ただし、中絶の際に感染症を起こすなどで子宮内膜や卵管などに癒着がおきたり、中絶の後、子宮内膜が薄くなるなどが生じれば、不妊症になる場合があります。