DX推進への取組み

トップメッセージ

富士製薬工業株式会社は、「優れた医薬品を通じて、人々の健やかな生活に貢献する」「富士製薬工業の成長は、私たちの成長に正比例する」という経営理念に加え、長期ビジョン2035の達成に向けた中期経営計画(2025年9月期~2029年9月期)において、デジタル技術を活用した変革(DX)を重要な経営基盤の一つと位置づけ、その推進に取り組んでいます。
医薬品を取り巻く環境が急速に変化する中、品質・安定供給・コンプライアンスを確保しながら、より高い付加価値を社会に提供し、貢献し続けるためには、業務や組織のあり方そのものを見直すことが不可欠です。
私たちが進めるDXは、単なる業務効率化やIT導入ではありません。社会への貢献を持続的に高め、将来にわたって成長し続けるために、組織・人・仕事の在り方そのものを進化させる取り組みです。
その実現に向け、以下の三点に経営として責任を持って取り組みます。

DX推進体制整備

部門や役割の壁を越え、全社最適の視点で意思決定と実行が進む体制を構築し、DXを一過性の施策ではなく、経営の中核として位置づけます。

人財育成と風土変革

人の成長こそが、DXを支える最も重要な原動力であると、私たちは考えています。社員一人ひとりが自ら考え、学び、挑戦し続けられる環境を整え、変化を前向きに受け止め、価値創出につなげる組織風土を育てていきます。

データ利活用

経験や慣習に加え、事実とデータに基づく意思決定を組織全体に根付かせることで、業務の質とスピードを高め、より確かな価値創出と社会への貢献を実現します。
変えるべきところは変え、守るべき本質は守りながら、経営層自らが先頭に立ち、社員とともに学び、考え、行動し続けることでDXを推進します。

代表取締役社長森田周平

DX戦略の概要

ビジョン

「デジタル変革による効率的業務への進化と高付加価値の創造」

デジタル基盤の構築を軸に、バリューチェーン全体の効率化による業務の高度化に加え、新ソリューション創出と高付加価値の創造を目指します。

【Fuji Pharma Digital Vision】デジタル変革による効率的業務への進化と高付加価値の創造 [バリューチェーン効率化] [新ソリューション創出] [デジタル基盤の構築]

DX戦略

中期経営計画期間において、基幹システム刷新(土台)× 部門DX(実践)× 人財育成(エンジン)の三位一体で推進し、さらにその先を目指すための基盤を整備します。

基幹システム刷新

ERP(企業資源計画)システムの刷新により、属人化からの脱却(Fit to Standard)による業務プロセスの整理と永続的な基盤整備を進めます。同時に、周辺システムとも連携し、情報・データの一元化による運用管理の効率化と経営・現場判断の効率化を目指します。

部門DX

医薬事業本部では、営業活動にデジタルツールを導入することで活動をデータ化し、MR(医療情報担当者)活動だけでなく営業支援部門を含めて生産性の向上を実現します。
生産本部では、MES(製造実行システム)、LIMS(試験室情報管理システム)及び教育管理システムの導入により、紙記録の電子化及びデータ化とともに手作業のシステム化を実現し、変更申請書作成支援にAIの活用を進めます。
信頼性保証本部では、文書管理システムの導入による業務の電子化を進めます。
研究開発本部では、申請書作成支援ツール導入、創薬シーズ探索へのAI活用を進めます。
経営戦略本部では、文献に関する統合ツールを導入することで社内一元管理の実現を目指します。
経営管理本部では、経費精算システムの刷新による申請・承認業務の効率化と管理機能とガバナンス強化、人事関連システムの更新では当社に適した管理機能強化とユーザーの利便性向上を目指します。

人財育成

DX戦略の基盤として、経営層を含めた全社員に対して標的型攻撃メール訓練をはじめとする情報セキュリティ教育を徹底し、ITリテラシー向上とリスク管理能力の強化を図ります。
また、各本部のDX推進担当者(DXアンバサダー)を選出・育成し、IT資格取得支援やプロジェクトマネジメント研修を通して、現場の課題解決と部門間を横断した全体最適を推進します。
さらに、全社員向けのITミニクイズを定期配信してITに触れる機会を日常化することで、組織全体の知識レベルを底上げします。
これら一連の取り組みと並行し、生成AI等の積極的な活用やコミュニケーションツールの刷新を進めることで、業務の高度化と変革を支える柔軟な組織文化を醸成してまいります。

三位一体のシナジー

標準化された「データ(基幹)」を、習熟した「人財(育成)」が、各現場の「業務(部門DX)」で最大限に活用することで、効率化の先にある「高付加価値の創造」を加速させます。

【DX戦略(簡略版)】[基幹・部門システム刷新]ERP + MES→LIMS(試験室情報管理システム)→情報・データの一元化→情報一元化と業務効率化、ERP + MES→販売管理システム→情報・データの一元化→情報一元化と業務効率化 [DX人財育成]全社員IT教育・セキュリティ教育→DXアンバサダー育成、資格・スキルアップ支援→組織ITリテラシー向上と課題解決力強化 [組織変革と高度化]柔軟な組織文化の醸成、経営・現場判断の迅速化

ロードマップ

IT/DX施策ロードマップ

推進体制

全社横断的な統制と現場主導の変革を両立させるため、以下の体制で推進します。

  • デジタル投資委員会の設置: 経営目線で施策の優先順位付けと投資判断を行う仕組みの構築を目指します。
  • DX推進委員会の設置: ICT統括部と各部門の推進者(DXアンバサダー)が密に連携し・情報交換を行い、現場の意見と全社最適に視点でDX施策の立案から運用まで関与します。
【デジタル投資委員会】全体を俯瞰して優先順位をつけ、会社として投資するかどうかを判断目的、課題、解決策の明確化と社内合意形成 【DX推進委員会】DX推進会議(月1回) [ICT統括部]〔DXアンバサダー〕 医薬事業本部、研究開発本部、生産本部、信頼性保証本部、経営戦略本部、経営管理本部 ICT統括部と各本部から選出されたDXアンバサダーとで「DX推進委員会」を設置。各本部内でのIT/DX施策に関する情報共有、案件整理、ステータスを管理し、その内容を「DX推進会議」で全社横断的に共有。

KPI

長期ビジョンおよび中期経営計画の達成に向け、以下の具体的な指標(KPI)を設定し、進捗を管理しています。

  • 1. 基幹・部門システム刷新

    2027年10月
    運用開始
    • 現状の業務フローを見直し、属人化からの脱却(Fit to Standard)を図る
    • アドオン数を50件以下に抑制
  • 2. 部門DXの推進

    2029年9月末
    目標
    • 紙媒体の電子化率:90%以上
    • 管理工数:20%以上削減
  • 3. DX人財育成

    2029年9月末
    目標
    • 全社員向けのITミニクイズ受講率 100%
    • ITパスポート 全社員の10%以上取得

リスク管理・セキュリティ対策

当社は、DXの推進による革新的な医薬品・サービスの提供にあたり、高度な創薬データおよび、製品の安定供給を支える基幹システムの保護を最重要課題と位置づけています。
情報セキュリティ基本方針」に基づき、以下の3軸を中心に、強固で柔軟なサイバーセキュリティ対策を策定・実施しています。

1. サイバーセキュリティ対策状況

巧妙化・高度化するサイバー攻撃から経営資産を守るため、防御、検知、復旧の各フェーズにおいて多層防御体制を構築しています。

ガバナンス体制

IT部門およびリスク管理委員会による連携体制のもと、全社横断的なリスク管理を徹底しています。

継続的な最適化

セキュリティ対策は「導入して完了」ではなく、日進月歩の技術動向や社会情勢を注視し、既存システムの集約化や最新ソリューションへの刷新など、環境変化に応じたタイムリーな高度化を継続的に実施しています。

2. ゼロトラスト化の推進

働き方の多様化やクラウド利用の拡大に対応するため、従来の「境界防御」に依存しない「ゼロトラスト・アーキテクチャ」への転換を加速させています。

エンドポイントの保護

すでにSASE(Secure Access Service Edge)の導入を完了し、PCやスマートデバイス等のデバイスを問わず、場所を選ばない安全なアクセス環境を実現しています。

OTネットワークへの展開

ITネットワークのみならず、工場の生産設備等を含むOT(制御技術)ネットワーク領域においても、ゼロトラスト概念に基づいたセキュリティ対策に着手しています。

今後の展望

今後は、全てのサーバーおよび各拠点間通信のマイクロセグメンテーション(ネットワークの細分化と権限制御)を順次実施し、万が一の侵入時にも被害を最小化できる、より強靭なインフラ基盤の構築を目指します。

3. 従業員への継続教育

セキュリティ対策を実効性のあるものにするため、全従業員の意識向上を図っています。

継続的な学習

全従業員を対象としたeラーニングや、最新の脅威動向を反映した情報セキュリティ研修を定期的に実施しています。

実戦的な訓練

標的型攻撃メール訓練を継続して行い、不審なメールに対する判断力と、有事の際の初動報告体制の徹底を図っています。

組織全体のリテラシーを高めることで、「人」と「技術」の両面から、安全安心なDX推進基盤を維持してまいります。

【強固なガバナンス体制の確立】基本方針に基づき、IT部門とリスク管理委員会が連携して全社横断的な管理を徹底します。 【ゼロトラスト化による防御の刷新】SASE導入により場所を問わない安全なアクセスを実現し、境界に依存しない高度な防御を構築しています。 【従業員教育による「人」の強化】eラーニングや標的型メール訓練を継続し、全社員のセキュリティリテラシーを向上させます。 【変化に応じた継続的な高度化】導入して終わりではなく、最新の脅威や社会情勢に合わせてシステムを常にアップデートし続けます。

具体的な環境整備状況

これまでのDX取り組みと今後

【2020年~】品質イベントシステム導入 変更管理の電子化 【2021年~】富山工場・研究センター DX検討開始 インフラ整備、生産計画自動立案、RPAなど 【2022年~】富山工場システム部門発足 インフラ整備とPC業務効率化 【2023年~】工数管理システム導入 作業工数記録集計電子化 【2024年~】全社システム部門発足 全体統括及びDX推進 営業DX検討開始 業務改善、データ・AI活用など 生成AI利用開始 ERP/MES LIMS 更新・導入 【2025年~】ゼロトラストネットワーク 構築、展開 【2026年~】DXアンバサダー配置 全体把握とDX人材育成 品質イベントシステム展開 逸脱管理、文書管理の電子化 【2027年~】DWH 計画、PoC、実装