⼦宮内膜症について
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Q&A
監修:京都府立医科大学大学院医学研究科
女性生涯医科学 教授
森 泰輔 先生
子宮内膜は、卵胞ホルモン(エストロゲン)の刺激によって増殖し、妊娠が成立しないと月経として排出されます。この子宮内膜に似た組織が子宮以外で増殖してさまざまな症状を引き起こすのが子宮内膜症です。
したがって、子宮内膜症になりやすいのは、「エストロゲンの分泌がさかんな女性」と考えられます。とくに下記にあてはまる女性は子宮内膜症にかかりやすいといわれています。
- 初経が早かった
- 月経で出血期間が長い
- 経血量が多い、またはレバー状のかたまりが混じる
- 月経周期が25日より短い
- 妊娠・出産経験がない、または少ない
- 立ち仕事の時間が長い など
子宮内膜症は次第に病巣に広がっていくことが知られています。進行すると、生理ではないときにもお腹の奥の方の痛みが強くなったり、不妊になる確率が高くなったりする可能性があります。鎮痛剤(痛み止め)は痛みには有効でも、子宮内膜症の進行を抑えることはできません。
「卵巣チョコレート嚢胞」では卵巣がんの発症につながるリスクがあります。
一般に、子宮内膜症が重症なほど妊娠しにくいことが知られています。さらに、年齢が高いほど、不妊期間が長いほど妊娠しにくくなります。
薬物療法は子宮内膜症にともなう痛みは抑えますが、不妊を改善する効果は少ないと考えられています。妊娠を希望する場合には、まずは腹腔鏡で子宮内膜症の部位や癒着の状況から進行の度合いを確かめます。チョコレート嚢胞の有無や卵管への癒着の度合い、年齢等により、どの不妊治療を組み合わせるかを検討します。
あるいは、腹腔鏡をせずに体外受精・胚移植を行うこともあります。妊娠を希望する場合には、早めに医師に相談してください。
子宮内膜症は月経がある限り発症・再発する可能性があります。薬物療法(内分泌療法)をやめると症状が徐々に出てきますので、妊娠を希望する期間を除いて、ある程度の期間は服薬を続けるほうがよいでしょう。
また、手術療法を行っても術後5年以内に20〜50%が再発します。手術をくり返すことは卵巣機能低下や閉経を早めてしまう可能性があります。術後の再発を予防するために、しばしば術後に内分泌療法を行います。
自己判断で服薬を中断したりすることのないようにしましょう。