不妊症について 不妊症について

不妊症の検査

監修:東邦大学医学部産科婦人科学講座 教授
 片桐 由起子 先生

検査はどのようなものをしますか?(女性の場合)

初診時に受ける主な検査

病院やクリニックによって検査の内容や進め方は違いますが、女性の場合は月経周期に合わせて検査が行われます。初診は月経周期にこだわらず、思い立ったとき気軽に受診しましょう。

病院へ行く前の準備

基礎体温表

基礎体温表は、女性のからだのリズムやホルモンの状態を知るための重要なデータです。毎朝の基礎体温だけでなく、月経周期やセックスをした日、おりものなどの状態を記録しておきます。2ヶ月分くらい波形がわかるように記録しておくと診断に役立ちます。
また、スマートフォンアプリでの管理も便利です。当社では女性の健康支援アプリ「LiLuLa」を配信しております。詳細はこちら をご確認ください。

初診時に受ける主な検査

1. 問診

月経のこと、妊娠歴、不妊期間、性交の回数について聞かれます。

2. 内診・子宮がん検査

3. 超音波検査

4. 不妊スクリーニング基礎検査

月経周期に合わせて行われる主な検査

ほとんどの場合は基礎検査で、おおよその不妊原因が推定できます。基礎検査の結果、さらにくわしい検査が必要な場合に精密検査を行うのが一般的です。

基礎検査

血液・ホルモン検査

ホルモンの分泌などを調べます。

卵管疎通性検査

レントゲンまたは超音波で卵管の通過性を調べます。また併せて子宮内腔の凹凸をきたす病変がないかどうかを確認します。

頸管粘液検査

排卵時期の頸管粘液の状態が、精子が子宮内に入っていくのにふさわしい状態がどうかを調べます。

ヒューナーテスト

フーナーテストあるいは性交後頸管粘液検査とも言います。
排卵期にあわせて、検査日当日もしくは前日夜に性交をした後に病院に行き、頸管粘液中の運動精子の数を調べます。

精密検査

ホルモン負荷検査

基礎検査のホルモン検査や基礎体温に異常がみられた場合に行われます。しかし、異常の認められた方全員に行われる検査ではありません。異常の内容により判断されます。
生理周期の特定の期間にホルモンを投与した後、血中のホルモン値の変化を確認します。

子宮鏡検査

子宮の内側のトラブルが疑われる場合に行う検査です。子宮鏡と呼ばれる胃カメラのような器具を用いて、子宮内の状態を確認します。

AMH(アンチミューラリアンホルモン)測定

血液中のホルモン値を測定し、卵巣に残る卵子の状態を予測します。

主な不妊検査のスケジュール

低温(卵胞)期

  • ホルモン検査(基礎値)
  • 超音波検査
  • 卵管疎通性検査
     ・子宮卵管造影検査
     ・卵管通気検査
     ・卵管通水検査
  • 子宮鏡検査

排卵期

  • 子宮頸管粘液検査
  • ヒューナーテスト
  • ホルモン検査
  • 超音波検査

高温(黄体)期

  • ホルモン検査
  • 超音波検査
  • 子宮内膜組織検査

月経周期に関わらず行われる検査

  • ●抗精子抗体検査
  • ●クラミジア抗体検査
  • ●AMH測定
  • ●MRI検査
  • ●腹腔鏡検査

検査はどのようなものをしますか?(男性の場合)

初診時に受ける主な検査

男性の場合は、まずは精液検査を行います。精液検査は、不妊専門のクリニックや泌尿器科、または婦人科でも受けることができます。病院によっては、パートナーと一緒に受診することも可能です。

1. 問診

2. 精液検査

3. 血液検査

4. 尿検査

5. 性器の診察

※精液検査は、2〜7日禁欲した後に行います。マスターベーションで専用の容器に射精します。精液を調べることに抵抗を感じるかもしれませんが、不妊原因を確かめるためには必要な検査です。

精液検査でわかること(括弧内はWHOの基準値)

精液の量(正常時:1.5ml以上)

正常値未満の場合は精液減少症か逆行性射精(膀胱内に精子が逆流する病気)が疑われます。

精液の外観(正常:乳白色、不透明)

透明の場合は無精子症が疑われます。

精子濃度(正常値:1500万/ml以上)

正常値未満の場合は乏精子症です。精液中に1個もない場合は無精子症と診断されます。

精子運動率(正常値:40%以上)

運動率が低い場合は精子無力症と診断されます。

直進運動精子率(正常値:32%以上)

元気よく走っている精子の割合です。この精子が卵子と出会うことになります。

正常形態精子率(正常形態:4%以上)

正常形態精子が少ないと受精率が低下します。

※検査時の体調などによって結果が変動するため、数週間の期間をあけて数回検査することをおすすめします。
※治療方針決定について使用すべき基準であり、妊娠するかどうかの判断はできません。

必要に応じて行われる検査

精液検査の結果が思わしくない場合は、詳しい検査を行います。

内分泌検査

各種ホルモンを調べます。

染色体・遺伝子検査

精子濃度や運動率が極端に低い場合や無精子症の場合に行うことがあります。

精液培養検査

感染が疑われる場合に行います。

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