ビジネスと人権 ビジネスと人権

ビジネスと人権

1. 方針

私たちは、「優れた医薬品を通じて、人々の健やかな生活に貢献する」、「富士製薬工業の成長は、わたしたちの成長に正比例する」を経営理念として掲げ、「人が一番、人を大切にする経営」のもと、事業を展開してまいりました。「人が一番、人を大切にする経営」において、人権の尊重はステークホルダーの皆さまと取り組むべき重要な課題と認識しています。2023年9月期には「富士製薬工業グループ人権方針」を改定し、人権の尊重に向けた取り組みを一層推し進めております。富士製薬工業グループは、ビジネスパートナーの皆さまと、ともに人権の尊重に取り組んでまいります。

人権方針

2. 推進体制

人権尊重の取り組みは、代表取締役社長が監督責任を担います。人権尊重の取り組みの進捗ならびに結果は、取締役会およびサステナビリティ委員会において定期的に報告、協議しています。
人権デュー・ディリジェンスは、経営戦略本部経営企画部サステナビリティ推進課を事務局とした、部門横断の組織を組成し、リスクアセスメントなどを通じて実施しています。人権デュー・ディリジェンスの実施により明らかになった課題への対応を含め、今後も人権課題解決のために、継続的に取り組みを実施していきます。

3. 人権デュー・ディリジェンスのプロセス・結果

私たちは、「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権デュー・ディリジェンスを実施しています。
2023年9月期は、バリューチェーンを通じた机上分析を実施し、自社の従業員のみならず、サプライヤーの皆さまや地域住民の方々を対象とした包括的なリスク調査を行い、「優先度が高いと想定される人権リスク」に記載の6項目を最も優先的に評価すべき人権リスクの項目/領域として特定しました。なお、特定したリスクの項目/領域には、「強制労働(人身取引を含む)」「児童労働」や「賃金の未払・不足(同一労働同一賃金の観点を含む)」「結社の自由」「団体交渉権」「差別」「女性の権利の侵害」などが含まれます。
2024年9月期は、富士製薬工業株式会社単体の人権リスクの状況について、書面調査およびヒアリング調査を実施しました。

優先度が高いと想定される人権リスク

私たちが、より優先的に実態把握を行うこととした人権リスクおよびその背景にある私たちの課題認識は、それぞれ以下の通りです。

医療・医薬品への不十分なアクセス

私たちは、医薬品の安定供給が、医療・医薬品へのアクセス確保に直結する課題と認識しています。これに加えて、近年の不安定な国際情勢の中、原薬の安定的な調達の難易度が上がっていることについても認識しています。

製品の品質・安全性の欠如

私たちは、医薬品の品質・有効性・安全性の確保は、市場に対して責任を持って医薬品を提供することを責務とする製薬会社にとって必須の課題と認識しています。

消費者利益の侵害

私たちは、患者さまや医療関係者の方々が安全に、かつ、安心してご使用いただける医薬品を供給することが重要であると認識しています。また、そのために、業界内では継続的に安全利用の注意喚起(薬の誤用防止など)が行われており、高品質な医薬品の製造と安定的な供給に努め、客観的、正確な情報を提供する必要があることについても認識しています。

非倫理的マーケティングの実施

私たちは、医薬品の処方・使用・管理・購入・推奨に対して不当な影響力を行使してはならないこと、加盟する日本製薬工業協会の「医療用医薬品プロモーションコード」に則ったマーケティングを実践し、医薬品を必要とする患者さまに医薬品を提供しなければならないこと、過度なマーケティングは、必要としない人物への医薬品の使用を誘発してしまうリスクがあるということを認識しています。

研修と教育を受ける権利の侵害

私たちは、危険な薬品の使用やそれに伴う災害のリスクがあることを認識し、薬品に関わる労働者に適切な研修の提供、警告の表示、防護対応などを実施しなければならないこと、環境や規制の変化によって必要な対応が変わるということ、を認識しています。

コンプライアンス・社会保障の不遵守と不公正な競争

私たちは、医薬品の製造・販売という人の生命に直接関与する事業を営む企業として、常に高い倫理観を持って行動しなければならないとの認識のもと、操業にかかわる各国・地域の社会保障制度を遵守し、贈収賄や優越的地位の濫用等の不公正な競争に加担してはならないこと、このような意識に基づき、コンプライアンスを遵守した経営を継続すべく、全役職員へのコンプライアンス意識の啓発、浸透を図らねばならないこと、コンプライアンスや社会保障制度の遵守は人権の尊重の土台となる事項であることを認識しています。

人権デュー・ディリジェンスのプロセス
[2023年9月期]

2023年9月期は、バリューチェーンを通じた机上分析を実施し、リスクの高い分野を特定しました。具体的には、バリューチェーンの各ステージにおいて、どのような顕在的且つ潜在的な人権リスクが想定されるかを、「影響度」と「発生可能性」の観点から評価を実施しました。
2023年9月期の机上分析では重大な事案は発見されませんでした。
最も優先的に評価すべき人権リスクの項目/領域については、「優先度が高いと想定される人権リスク」をご参照ください。

[2024年9月期]

2024年9月期は、富士製薬工業株式会社単体の人権リスクの状況について、書面調査およびヒアリング調査を実施しました。書面調査およびヒアリング調査では、机上調査で特定した想定される人権リスクを対象に質問を行い、回答結果を基に各人権リスク項目/領域について「影響度」「発生可能性」「管理の脆弱性」の3つの観点で評価を実施しました。結果、以下の8項目の人権リスクの項目/領域を富士製薬工業株式会社単体において特に優先度が高い人権リスクの項目/領域として特定しました。

富士製薬工業株式会社において特に優先度が高い人権リスクの項目/領域
医療・医薬品への不十分なアクセス 近年の不安定な国際情勢により原薬の安定的な調達の難易度が上がっていることや、日本国内の医薬品供給不足について認識しています。当社では、安定供給体制の確保のために安定供給委員会を設置し、全社横断的に適切な在庫管理、運用に取り組んでいます。今後も安定供給体制の確保に継続して取り組みます。
製品の品質・安全性の欠如 2022年1月19日、富山県から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を根拠とする業務改善命令を受けました。対象の製品については自主回収を実施しました。なお本件に起因すると考えられる健康被害や、有効性・安全性に影響があったとする報告は受けておりません。
今後同様の事案が発生しないよう、徹底した是正措置及び再発防止策を含めた改善計画を策定し、実践しています。
具体的な取り組みとしては、改正薬機法に則った品質管理体制の構築や、全社を対象とする総括製造販売業者主催教育訓練を年2回実施しています。
消費者利益の侵害
コンプライアンス・社会保障の不遵守と不公正な競争
ハラスメントと虐待 過去に社内の通報窓口に対してハラスメントについての通報が寄せられました。全社を対象とするハラスメント研修を実施し、再発防止に取り組んでいます。今後もハラスメントの予防・是正に向けた取り組みを強化します。
不十分な労働安全衛生 工場等で継続して労働災害が発生しています。労働安全衛生方針に則り、リスクアセスメントやヒヤリハット事例の収集と分析などの労働災害の再発・未然防止への取り組みを継続します。
不当な労働時間(休憩・休日取得の権利の侵害) 2022年月期に36協定違反者が3人発生しました。長時間労働の防止のため、入退出時間管理システムと、労働時間に乖離があった場合に確認する仕組みを設けています。今後、乖離の確認の頻度を増やし、労働時間管理をさらに強化する予定です。
偽造医薬品への不十分な対策 国内外において当社が製造する医薬品の偽造品が流通するリスクを認識しています。当社が加盟する製薬協では偽造医薬品の流通防止の取り組みを実施しています。

2024年9月期の書面調査およびヒアリング調査では重大な事案は発見されませんでした。 また、人権侵害の恐れがある場合の救済へのアクセスを改善するための取り組みとして、新たに当社ホームページへ人権・コンプライアンスの通報窓口を設置しました。

今後は人権デュー・ディリジェンスの次のステップとして、書面調査やヒアリング調査対象を拡大し、実態の把握を進め、リスクの評価については定期的に実施していく予定です。(なお、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001についても、今後も取得を維持していく予定です。) 人権デュー・ディリジェンスの結果判明したリスクに対しては、当該課題の発生防止、リスク軽減のための対策を行うと共に、発生した事案に関しては救済措置を講じます。

4. 教育・研修

私たちは、全てのステークホルダーの皆さまと共に人権の尊重を踏まえた経営を実践すべく、人権の尊重についての教育・研修の充実を図っており、役員および部長以上の社員を対象に「ビジネスと人権」に関する研修を実施しています。

5. 救済メカニズム

私たちは、職場内でのコンプライアンス違反または恐れがある行為について、相談・通報の窓口を社内外に設置しております。 本窓口を通じ、事業活動や職場で発生した組織的または個人による法令等の違反、不正、倫理に悖る行為や、人権に関する問題(差別・ハラスメント等を含む)などについて、全従業員(契約社員、嘱託社員、パート、アルバイト、派遣労働者を含む)が相談・通報を行うことが可能です。

従業員は、相談・通報の際、電話・電子メール・専用Webフォーム・郵送のいずれかの手段をとることが可能です。使用可能な言語は日本語・英語・中国語です。また、社内外のステークホルダーが利用可能な窓口として、当社ホームページにおいて人権・コンプライアンスの通報窓口を設置しています。これらの窓口において、通報者の匿名性、通報内容に関する機密性を保持するとともに、通報者に対する報復行為および不利益な取り扱いを禁止しています。

社内外の窓口で通報を受け付けた後は、法務・コンプライアンス課の助言の下、代表取締役社長が調査の必要性を検討のうえ、担当者が調査を実施します。調査の結果は代表取締役社長に報告され、法令等違反行為が明らかになった場合には、是正措置および再発防止策を講じ、是正措置後は内部監査室によるフォローアップを行います。なお、通報・報告された人権に関する懸念もモニタリングしています。

また、通報者に対しては、相談・通報を受け付けた旨や、調査開始の有無、調査の進捗状況と結果および是正措置・再発防止策について適宜通知します。

コンプライアンス委員会では、毎年内部通報制度の運用状況を確認するとともに、内部通報体制の実効性見直しと改善を行っております。内部通報については、調査の結果に基づき厳重注意等必要な措置を実施しました。

6. ステークホルダーとの取り組み

私たちは、人権課題に対し、様々なステークホルダーとの対話・協議が重要と考えております。

取り組みの一環として、グループ調達方針に基づく「調達ガイドライン」を策定し、取引先の皆さま向けに人権に対しての配慮をお願いしております。

今後も関連するステークホルダーの皆さまとの対話・協議を継続的に実施し、人権課題の特定・軽減・救済に取り組んでまいります。